院長挨拶(2023年4月掲載分)

沢岻美奈子 女性医療クリニックのホームページをご覧の皆様、院長の沢岻たくし美奈子です。
当院は2013年1月に女性スタッフだけで乳がん検診を行う婦人科クリニックとして開院しました。昨年2022年の一年間で神戸市乳がん検診を約2500件、地元企業様の会社検診や自己検診も含めると約3100件の乳がん検診を行いました。
コロナ禍で受診動向の変化もあり、早期発見の大切さ、定期検診を続ける必要性を伝える為にSNS(Instagram)を始めました。
診察室の中で一人一人に説明するだけでは足りない事、婦人科を受診しても実は話しづらい事、他の人はどうなんだろう、自分の症状は普通なのかな?など、患者さんとのやりとりと通じて日常の診察で感じ考える事を、専門医目線で正しい医療情報として毎週投稿しています。

私はよく、ホルモンの影響を大いに受ける女性の一生を、大好きな沖縄の波に例えます。
様々な波がその土地独特の地形を作る様に、一人の女性を成長させ、人としての味わいになるのだと。
私自身が更年期真っ只中で、静かな力を感じながら波間を揺蕩っているつもりでいましたが、実際には台風の荒波に揉まれる様に感情の揺れる日々を過ごしています。
ここ数年の社会的な激変により、世の中が人々の心身に及ぼす影響ははかり知れず、私自身も心身の変化を多角的に考える中では、自分軸を持っている事も大切ですが、揺らぎながら立ち止まって進行方向を再確認する時間も大切だと感じています。
台風は、目に入ると一時的にとても静かな時間があります。
そして、吹き返しで更に荒れた後の陸の片付けは大変ですが、攪拌された海中は生物にとっては栄養豊かな楽園です。
日々悩める女性達と全力で向き合い、お互いに揺らぎながらも一緒に女性として成長できていける事が楽しみで、終わりのない女性医療をライフワークとして選んで良かったと、これまで出会った沢山の女性に感謝しています。

当院の検診で乳がんが見つかり、闘病をしながら婦人科の困り事で通う方もおられます。
乳がん世代は更年期世代でもあります。
がんと闘う自分の心身だけでなく、傍のパートナーの健康も心配し、老いる親を労り、子の成長を見守りたいと多様な役割を果たしているサバイバーの方の強い生きるエネルギーに、私が元気をもらう毎日です。
当院の受診を機に、一人一人が自身の心身と向き合い無二の人生を極め歩み進めるように、女性の長い人生の一生のかかりつけ医として、一緒に成長していけることを喜びに思います。

2023年4月 沢岻たくし美奈子